防府のお宝 名所めぐり – 中編

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国指定名勝 毛利氏庭園

旧山陽道に面した入口から松並木を見ながら、ゆるやかな坂をのぼってゆくと、総ケヤキ造りの雄大な表門が出迎えます。
ここから邸宅までの路は、向って右側は梛(なぎ)川の渓流にそってカエデが路をおおい、左側はよく剪定された数百本のサツキが妍を競う。その奥には自然林が広がり、流れにかかる石橋とあいまって自然と人工の整形の妙に閑雄幽深の境地を行く思いがします。路は途中で二手に分かれ、一つは石橋を渡って右折し、自然林の風情を賞でながら左に旋回し、ゆるやかな勾配をとってのぼり、中雀門を右に眺めて表玄関に。もう一つは右手に梛川西側のカエデ並木の風致を賞美しながら梛橋を渡り、本邸の表玄関に至ります。

前庭

路傍庭園を過ぎると、急に視界が開けて毛利邸正面の入口となる豪壮な車寄(くるまよせ)が見える。その前には巨大な灯籠と大きく育ったヤマモモ、サツキが配置され、前庭を海にたとえるならば、海に浮かぶ島を連想させます。
前庭には売店(天満屋)があり、当地のみやげ物などを買い求めることも。
毛利博物館の北側には、茶房・ギャラリーも併設された毛利ミュージアムショップ・ギャラリー舞衣があり、オリジナルグッズを購入することもできるほか、定期的に展示会も行われています。また、喫茶・食事なども楽しむことができるので、庭園の風致や博物館の名品に思いをはせながら、憩いのひとときを過ごすのもおすすめです。

内庭

中雀門(ちゅうじゃくもん)から内庭に入ると、本邸の東南中央に、満々たる水をたたえた面積7,934m2の瓢箪池(ひょうたんいけ)が広がります。その北には、自然林の小丘を活かして山林的風致を造り出しています。林丘の周囲には遣水としての小渓谷をめぐらせ、一つは西から池に注ぐ飛瀑となり、一つは東をめぐってせせらぎの音もゆかしく池にそそいでいます。池周辺の広庭は、自然を生かしながらも、石組・植栽・芝生・回遊路・石橋・東屋などを施して、池と林丘を調和させ、重量感のある、しかも幽玄の気分をあらわす遊歩地を構成。邸宅の内外には、各部屋に調和するよう大小幾多の平庭が配置され、とりわけ、客殿(大広間)・書院に南面した庭が最も豪華。地割・植栽・岩組等が雄大です。

東大寺別院 阿弥陀寺

西暦1180年(治承4年)に焼失した東大寺再建の大勧進 俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)上人は、西暦1181年(養和元年)周防国が東大寺再建の造営料国となったことから、西暦1186年(文治2年)周防国府があった防府に下向しました。阿弥陀寺は重源上人が作った東大寺再建の7別所のひとつで、後白川法皇の安穏を祈願して建立されました。

境内のアジサイは、昭和50年頃より植え始め、昭和63年、防府商工会議所青年部や地元有志の協力を得て、「西のアジサイ寺」を目指し、植樹活動を本格的に開始しました。
現在では山アジサイやガクアジサイ、本アジサイ、西洋アジサイ、コアジサイ、ウツギなど八十種類、約四千株のアジサイが緑豊かな境内に植えられ、六月には華やかな浄土の世界に誘い入れてくれます。

阿弥陀寺には鉄宝塔(国宝:鎌倉時代)や重源上人像(重要文化財:鎌倉時代)をはじめ、たくさんのお宝があります。
本尊には阿弥陀如来立像、念仏堂には阿弥陀如来坐像、護摩堂に不動明王坐像、平成3年には大英博物館に貸し出したこともあります。
山門の仁王像は一時破壊したが、1685年毛利氏によって再興。また湯屋は鎌倉時代の古い様式を伝えています。
観覧するには予約が必要です。

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